この度、Gallery Hasu no hanaでは下丸子文化集団NEOのサークル誌 「試誌 下丸子 コンペイトウ」の出版記念として展覧会を開催いたします。
下丸子文化集団NEOは、大田区・鵜の木に所在するGallery Hasu no hanaを通じ、アーティスト、編集者、美術評論家、パフォーマーなど表現に携わる人びとで構成され、隣町である下丸子を中心に1951年~59年まで活動をしていた下丸子文化集団の系譜をたどる形で、2016年に発足いたしました。
1950年代という時代は、労働者のサークル運動が盛んであり、町工場ではたらく若者達が詩を書き、仲間と歌をうたい、芝居を自主制作したりしていました。その数は、東京南部地域だけでも200を超え、全国的には8000のサークルがあったそうですが、現在では研究者はいるものの、地域の人や町の記憶から忘却されつつあります。
その理由として、活動自体消費的な運動であったことや、この時代のサークル運動を考えるとき、時代的背景により「政治」を抜きに文脈づけることが困難であり、長い事検討されてこなかったことが上げられます。
下丸子文化集団もそういったサークルの1つですが、地域的な特徴(下丸子は米軍管理下の軍事工場があった)の他に、解散後もそれぞれの中で活動の意味は探られており、主要なメンバーが再び集まり、1990年代に文学誌を再び創刊するなど稀有な存在であり、時代を超えて、なお私たちを刺激するものがあります。
下丸子文化集団NEOは下丸子文化集団に触れたことをきっかけに、当時の印刷技法と同じガリ版を使い、様々な視点から派生した内容を寄稿したサークル誌を作り、1950年代のサークル運動における産物を「文学」とも「社会運動」とも異なる別の輪郭を浮かび上がらせることを試みます。
下丸子文化集団NEO
島本脩二(編集者)/武居利史(美術評論家)/中村惠一(郵藝家)/福留麻里(ダンサー)/フクマカズエ(ギャラリスト)/松本力(絵かき、映像・アニメーション作家)/三田健志(美術家) l ゲスト:大内晋次
下丸子文化集団NEO
試誌 下丸子『コンペイトウ』
会期:2016年6日25日(土)~ 7月2日(土)
時間:月・火・土・日 12:00~18:00
水・金 15:00〜22:00
1946年生。編集者。2006年まで小学館で雑誌、書籍の編集に携わる。その後朝日新聞出版を経てフリー。主な担当書は『成りあがり』『日本国憲法』『月光浴』『世界のともだち』『No Nukes ヒロシマ ナガサキ フクシマ』など。
1968年生。美術評論家。府中市美術館学芸員。美術館の教育普及プログラムを中心に手がける。主な関心は、現代美術、近代美術史、美術教育、文化政策、社会主義芸術論。美術と社会の関りについて思索と執筆を続ける。
1979年生。美術家。「経験」を巡る考察を軸とした作品を制作。個人での発表のほか、ユニット「構想計画所」としての活動も多い。主な作品に『等高線を登る』『無人/島』など。
1946年生。編集者。2006年まで小学館で雑誌、書籍の編集に携わる。その後朝日新聞出版を経てフリー。主な担当書は『成りあがり』『日本国憲法』『月光浴』『世界のともだち』『No Nukes ヒロシマ ナガサキ フクシマ』など。