わたしたちが住む青く美しい星は、表面の70%が海に覆われているため、水の惑星と呼ばれている。しかし、地球の内核の主成分は鉄であり、元素的に見てみると存在量としてもっとも多く、”鉄の惑星”との別名を持っている。
多摩芸術大学工芸学科金属専攻を卒業した長坂絵夢は、鉄を用い平面、インスタレーション、立体など様々な作品形体で、鉄という素材が持っている可能性について探ってきました。”鉄”に焦点を当てている理由については、「腐食するという性質が生ものを扱うような、重厚な姿とは別にとても繊細で敏感な素材であること、また鉄を打つ感触、溶接し溶かす感触、素材に触れる身体の感覚が内面的な部分に働きかけ、どこか人との近さを感じるものがある。 」と述べています。
平面作品では、前述した感触から得たイメージを手掛かりに、自然や人を登場させ、記憶、時間、記録というものに置き換え画面に残してきました。また、2015年より発表を続けている「fallen leves -corrosion-」は、青森の十和田市で行う展示の為に奥入瀬渓流周辺のフィールドワークからから生まれた作品です。長坂がもともと興味が強かった自然、また未知の世界としての宇宙。鉄が森や川や海に存在していること、生物の中、人間の体内の中にもあることを改めて考えたとき、人と素材、それは言い換えると人と自然、物質、地球または宇宙との関係である言えるのではないかと考えるようになり、目では確かめられない関係性に近づく入口のような作品を目指してきました。
2016年~2017年にかけては、製鉄会社、町工場の職人など鉄を素材に仕事をする人たちとの繋がりや協力を得る機会に恵まれ、これまで自身の制作で見てきた素材の側面は一部であったことを知ることとなります。この経験が直接の契機となり、社会の中でアーティストとして何を示し、何を共有できるか、ということをより意識するようになり、活動の広がりを見せています。
本展は、自然や生き物の中で循環する鉄という物質的なアプローチである「fallen leves-corrosion-」シリーズのインスタレーションを中心に、作品やアーティスト活動そのものを通じて素材として社会の様々な場面で使われる鉄の意味を繋げてゆく、近年取り組んでいた一連のプロジェクトの最後の展覧会となります。
※作家紹介として本展出品以外の画像も含まれてます。
2017 / 12/ 9 - 24
長坂絵夢展『fallen leves -corrosion-』
会期:2017年12日9日(土)~24 (日)
時間:月・火・土・日 12:00~18:00
水・金 15:00~22:00
入場料:400円
その他:インスタレーション展示他、ブローチ、ドローイングハンカチーフの販売もいたします。
12月9日10日は多摩川オープンアトリエ2017
開催中につき、一会場となります。
詳細はこちらをクリック。
press release
2014年の展覧会風景
pick up!!
2016年アーティストのブローチ展で
も好評だった 身につける小さな作品でもあるブローチの販売もございます。
その他ドローイングをシルクスクリーン印刷したedition付きハンカチの販売いたします。